2001.11.04より

2001.11.04最終更新

Mann-WhitneyのU検定と不等分散のペ−ジ

 問い合わせ多数[日本語のものは絶対数からいけばわずかですが]のため、ロ −カルな統計的手法メモから公開版に昇格しました。

発端

 Mann-WhitneyのU検定(Wilcoxonの順位和検定)は独立な2標本を比較するノン パラメトリック検定の1つで、おそらくもっとも使用頻度の高いノンパラメトリック 検定でしょう。しばらく前に、不等分散のときにMann-WhitneyのU検定を使っている 例がかなりあることに気がつきました。

問題

 しかし、Mann-WhitneyのU検定は帰無仮説での検定統計量の分布を求めるときに 、2標本が同じ母集団からサンプリングされたと仮定しており、しかもU統計量の分 布は2標本がサンプリングされる母集団の分散が異なれば同じ母集団からサンプリン グされた場合(後者の場合がU検定用の表になっています)とはちがってきます。1 つの母集団は1つの分散しかもちえません。したがって、Mann-WhitneyのU検定は等 分散を仮定しています。しかも、等分散でないことは検定結果に影響を与えます。こ のことは、統計の本ではかなり前から言われています。しかし、不等分散のときに好 んでU検定を使っている例がかなりあるようです。

 最近、下記の論文を書きました。「えっ、ノンパラメトリック検定なのに不等 分散が影響するの?」(←ギャグではなく実際に聞いた)、とか、「本当かよ?信じ られない」、とか、「どうすればいいの」とかいう方はそちらをごらんください。

Kasuya, E.(2001) Mann-Whitney U test when variances are unequal. Animal Behaviour,61:1247-1249.

不等分散と等分散

 こういう場合、不等分散と等分散とは、標本分散がちがうことでも、標本分散 に有意な差があることでも(直接的には)なく、母分散がちがうことを指します。これはt検定などの場合も同じです。

他の検定

 すぐに同じことが起こるとわかるのは、Mann-WhitneyのU検定の多標本版である Kruskal-Wallisの検定です。